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長時間労働を原因とする過労死問題と企業の法的責任

 

先日来より、大手広告会社電通の若手社員が長時間労働が原因で自殺をしたことが問題となっています。ご遺族はつらい思いをされていることと思いますが会社側の対応によっては今後法的係争に発展する可能性もあります。

ここでは、会社が労働に長時間労働を行なわせることによってどのような法的責任が発生するのか等について考察してみます。

 

1、労基法違反

まず、当然ですが、会社は労働基準法を遵守しなければなりません。

労働基準法は、原則として一日8時間、週40時間での労働をさせることしか認められていませんので(労働基準法第32条、但し36協定などがあればもう少し増加する)、これを超えて勤務させていたことになると労働基準法違反になります。

 そして、労働基準法違反が認められる事業所は、司法処分を含めて厳正に対処するとされており(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発)等)、労働基準監督官による立ち入り検査や刑事罰がかされる可能性があります。

 先日、問題の広告会社に立ち入り検査が入った旨の報道がありましたが、この制度によるものと思われます。


2、会社の損害賠償責任

つぎに会社は労働者に対して労働の対価として単に賃金を支払えばよいだけではなく、長期の人的関係などを背景としてさまざまな附随義務を負っています。

その一環として、会社は労働者に対して労働者の生命・身体の安全を確保するように配慮する安全配慮義務や健康配慮義務(労働契約法5条ほか)を負っており、これに反した場合は損賠賠償請求を受ける可能性があります。

裁判例でも、過労自殺の事案において企業の安全配慮義務違反を原因とした損害賠償請求を肯定した事案があります(電通事件、最高裁平成12年3月24日)。

 

3、取締役の損害賠償責任

また、会社のみではなく、取締役個人も損害賠償責任を負う可能性があります。

具体的には、会社としてきわめて不合理な長時間労働をしいており、取締役もそれを承認していたような場合においては、取締役に悪意重過失による任務懈怠があったとして取締役に対して労働者に生じた損害を賠償する責任が課されることがあります(日本海庄や過労死訴訟、大阪高裁平成23年5月25日)。

 

4、労災保険

 なお、労働者が過労が原因で精神障害を罹患して自殺したような場合、それが「業務上」の事由による死亡に該当すれば、労災保険法が適用されます。

 

このように、適切な労務管理をせず長時間労働を強いると会社はさまざまな法的責任を負うことになります。なお、上記のような過労自殺の事案のみならず、過労死(脳・心臓疾患)、過労による精神障害発症(うつ病に罹患)なども同様の法的責任が発生する可能性があります。適切な労務管理を日ごろから行なうことが重要といえるでしょう。

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