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離婚に伴う年金分割の割合(裁判例の分析)

 

1、離婚と年金分割

 離婚事件において年金分割が問題になります。今回は、年金分割についてみてみたいと思います。

 

2、年金分割とは

 年金分割は、国民年金に該当する基礎年金部分ではなく、いわゆる2階建て部分(厚生年金等)の分割を行なう制度です。

 年金分割は合意で分割割合を定めることができますが、合意で分割割合が定まらないときには、家庭裁判所で調停あるいは審判となります。審判になった場合どのような分割割合なるのでしょうか。以下、裁判例を検討してみたいと思います。

 

3、裁判例の基本的な考え方

 年金分割のリーディングケースとされている、大阪高等裁判所平成21年9月4日決定は「年金分割は,被用者年金が夫婦双方の老後等のための所得保障としての社会保障的機能を有する制度であるから,対象期間中の保険料納付に対する寄与の程度は,特別の事情がない限り,互いに同等とみて,年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定めるのが相当である」と判断しており、特段の事情のない限り0.5すなわち夫婦間で平等に分割すると考えています。

 つまり、裁判例は、年金分割制度は社会保障的機能があるので、「特段の事情」つまりよほどの事情がない限り、分割割合は0.5と夫婦平等に年金を分けると判断しているのです。

 そこで、平等分割を修正する「特段の事情」とはどのような事情なのか、果たして「特段の事情」を認めた裁判例があるのかを検討してみます。

 

4、裁判例

(1)大阪高等裁判所 平成22年 6月30日審判

   (第1審:奈良家庭裁判所葛城支部 平成22年 5月21日)

【事案の概要】

 年金分割を請求された夫が、別居してから離婚判決確定まで約10年11か月が経過し、34年に及ぶ婚姻期間の約3分の1が別居期間となり、別居中も相当額の婚姻費用を支払ったことから、年金分割が年金分割が0.5よりも少なく分割されるべきと主張した事案。

【結論】原則通り50%の分割

【理由】別居していることは年金分割を修正すべき特段の事情に当たらない。

 

なお他に①札幌高等裁判所 平成19年6月26日審判、②名古屋高等裁判所平成20年2月1日審判、③広島高等裁判所 平成20年3月14日審判も、同じように別居中の分は年金分割対象とならないと主張していた事案ですが、すべて退けられ、原則どおり50%の分与となっています。

 

(2)大阪高等裁判所 平成21年9月4日審判

  (第1審:奈良家庭裁判所 平成21年 4月17日)

【事案の概要】

年金分割を請求された夫が、36年間の婚姻期間中14年間が別居中しており、しかも、別居期間中に相当額を超える多額の婚姻費用を支払っていたとして、別居中の年金支払分に関する年金分割が認められないと主張した事案。

【結論】第1審は、夫側の主張を認め、年金分割を却下した。

 しかしながら、控訴審の大阪高等裁判所において、別居中に多額の婚姻費用を支払っていたことは、年金の平等分割を修正するほどの特段の事情に該当しないとして、原則通り50%の分割とした。

 

(3)東京家庭裁判所 平成25年10月1日 審判

【事案の概要】

 離婚した夫が妻に対して年金分割を求めた事案。夫は、婚姻期間中、浪費して借金を作り妻が働きに行かざるを得ない状態にしていたなど夫に落ち度があった事案。

【結論】

 妻の年金に対する夫の寄与が少なかったと認定して、原則50%分割を修正し年金分割割合を30%と判断した。

 

5、考察

 年金分割の審判例を6つほど検討しましたが(3つは(1)の裁判例に簡潔に記載)、5つは原則通りに50%の分割となっています。

 上記検討の通り単に別居しているだけでは年金分割の修正要素にはなりませんし、また別居のみならず別居中に多額の婚姻費用を支払い夫が妻に先行して財産を分与していたような事案であっても、原則通り50%の分割となっています。

 このように、年金分割はよほどの事情がない限り50%の分割が大原則といえます。

 この点、東京家庭裁判所 平成25年10月1日審判は、夫の請求に対し30%の分与にとどめていますが、同事例は妻が夫に年金分割を求めた事例ではなく、夫が妻に年金分割を求めた事案であり、しかも、夫に婚姻期間中に相当の落ち度があった事案です。このような要素があり分与割合がようやく修正されています。

 年金分割を修正する「特段の事情」はかなり限定的に解され、原則は50%分割と考えておいたほうが良いでしょう。

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